良質な睡眠 | アルコール依存症じゃないけど酒をやめたい!

  1. 自己破産から覚醒までの物語
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13. ニュートラルな感覚

私は今まで「いつもポジティブでなくてはいけない」という一種の強迫観念のようなものと一緒に生きてきました。ちょっとでも落ち込んだり、ネガティブな感情に包まれたりすると「前向きに考えなくちゃいけない」「ポジティブな状態でなければベストパフォーマンスを引き出せない」と考えてきました。自己啓発書の多くにそのような事が書かかれていたからです。私は特に疑いもせずにこの「ポジティブ崇拝論」をずっと信じてきました。

ですから気分が晴れないときは映画館へ行ったり、DVDをレンタルしてきたり、書店で弱い心を救ってくれそうな本を探したり、目的もなくドライブに出かけたり、「たまには美味しいものでも食べて元気を出そう」と奮発して外食してみたり、スーパー銭湯へ行ってサウナで汗を流したり、マッサージしてもらったりして、とにかく年がら年中ストレス解消を無意識的に行っておりました。

だいぶ前にどなたかが「ストレスは20世紀最大の発明である」と言っておられたことが思い出されます。もし江戸時代だったら人々にストレスという概念がありませんから「ちょっと元気がないだけ」とか「男ならグジグジしてんじゃねぇ!」とか、そんな事で済んでいたのかもしれません。しかしストレスという概念が発見された途端にあらゆる産業がストレス解消を商品に変えていったのです。

音楽や芸術に始まり、旅行やスポーツ、ボディケア、サプリメント、医療、食事、住居、ファッション、自動車・・・あまりにも多岐に渡るためにちゃんとカテゴライズして書けませんが、とにかくありとあらゆるものがストレス解消に関わっているのです。そしてそれを後押ししているのが「常にポジティブな状態でないといけない」という社会的な脅迫観念です。

当然私も疑いませんでした。しかし断酒が定着してしばらくしたある日に今までとは違う感覚の中にいることに気がつきました。それは「ニュートラル」としか表現しようのない感覚でした。文章で表現するのはとても難しいのですがポジティブでもネガティブでもない感覚です。あるいはポジティブとネガティブが混在していて中和されている状態なのかも知れません。

その心理状態を季節に例えるなら5月や10月に木綿の長袖シャツ1枚とジーンズだけで過ごしていても暑くも寒くもない春や秋の短い期間のような季節です。もしネガティブな心理状態を冬と例えるなら、ポジティブな状態は夏と例えることもできるでしょう。つまりタンクトップと短パンでいるのがポジティブな状態すれば、その服装で少しでも寒いと感じたら「これはマズイな」と思って直ぐ暖房を点けるような事をしてきたのではないかと思ったのです。

しかし前述のように一年のうちにごく短い期間ですが暖房も冷房もいらない時期がありますよね。心もあの状態で良いのではないのか……いつも夏じゃなくてもよいのではないかとニュートラルな感覚を体験して思ったのです。

断っておきますがニュートラルな感覚は無関心や無気力とは違います。自分の目標や目的がはっきりわかっていますし突然全ての問題が消えたわけでもありません。ただ以前の様に「問題=嫌なこと」と思うのではなくてどう行動すればその問題が解決するのかを理解しているような状態です。それ自体が既に問題と言えるのかどうか分かりませんが以前の私なら問題ととらえていたような物事です。

そうしているうちに年がら年中ストレス解消にお金を使ってきたことが本当に必要だったのかと思えてきました。「問題があると気分も晴れないから萎縮して行動にブレーキがかかってしまうので無理矢理にでも前向きに考えられるようにストレス解消して気分を高揚させることが自己実現するためのテクニックである」という考えに疑問が湧いたのです。

全世界には70億の人々がそれぞれの考えで生きていますし、現在の地球自体が宇宙の歴史を考えると比較的安定している一瞬なので何も問題がおきないという状況は現実的にはありえません。問題は生きている以上一生無くならないのです。ということは一生ストレス解消しないと生きていけないということになります。

心がいつも夏休みに旅行しているような状態でなければベストパフォーマンスを引き出せないのでしょうか。そもそもいつもベストでいる必要があるのでしょうか。ネガティブとは悪いことなのでしょうか。昼があれば夜もありますし、日向があれば日陰もあります。どちらでも一定の成果を出せるようになるのが最良の状態ではないでしょうか。いつも三角すいの頂点でヤジロベエしながら生きているよりも平な大地に降りてどっしりと座って生きればいいんじゃないかと思うのです。これがニュートラルな感覚です。

ですから無関心や無気力ではなく木綿のシャツとジーンズだけで暑くも寒くもないような心の状態をニュートラルと表現しました。上手く伝えにくいのですが「静かなる至福」とでも言える状態です。薬もサプリメントも入りません。好きな監督の映画を観て涙することもありますし欲しいな〜と思う品物があったりもします。

しかし「今日は朝から信号が全部赤だな」と思ってもイライラしなくなったのです。あるいはうっかりテーブルの上のコーヒーをこぼしてしまっても「チッ」と思ったりしないのです。きっと神様がこの先で起こるかもしれない交通事故に私が遭遇しないように調整してくれているんだな」とか「キーボードの上にこぼさなくて良かった。いつも運が良いよな〜」と、決して無理せずに自然に思えるのです。

これはニュートラルな状態であってネガティブかボジティブに振れていたらそうはとらえられないと思います。例えボジティブな状態であってもヤジロベエがいつ反対に振れるかもしれない不安定な状態には変わりありません。

私はニュートラルな感覚が自覚できたときに初めて断酒に感謝という気持ちが湧きました。私はもう「ネガティブな感情に包まれたら気分を高揚させて無理やりポジティブな状態に持っていく」という心のドーピングする必要がなくなりました。ニュートラルな感覚は、断酒無しでは到達できない世界だと私は信じています。考え方を変えてニュートラルな感覚にするのではなく体の奥からそういう感覚が自然に湧き上がってくるからです。

飲酒を続けている限りは常にポジティブとネガティブの間を行ったり来たりする人生になるでしょう。
(つづく)

 

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